第47期新人王戦決勝三番勝負第2局。
石田直裕四段の四間飛車に対し、増田康宏四段は▲6六角から見たこともない駒組みで序盤から圧倒的な優位を築き、最後は鮮やかな詰み。初タイトル新人王を勝ち取りました。
増田四段の使った作戦は銀冠穴熊。しかもただの銀冠穴熊ではありません。
旧来の左美濃からの発展形としての銀冠穴熊ではなく、最初から銀冠穴熊を含みにします。▲6六角から角道を開けたまま駒組みするのがポイントで、相手の△6五桂の両取りを防ぎつつ堅く囲うことができるという仕組みです。
相手が無理な動きをしてくればそれをとがめればよし、持久戦になれば自玉は無類の堅陣となります。
実は、この「対振り銀冠穴熊」はコンピュータが指しはじめたもの。増田四段がたまたまアマチュア将棋ファンのブログを見て知り、プロでも通用する戦法に仕上げたといいます。
まだ誕生して間もないものの、駒組みがわかりやすく、狙いがシンプルな戦法なので、アマチュアでも十分指しこなせます。何しろ堅陣に囲えるので勝ちやすいのが大きな魅力でしょう。
本書で増田流銀冠穴熊をマスターして、ぜひ振り飛車対策の一つとして加えてください。