卒業旅行に向かった自慢の息子が、そのまま姿を消した。大学卒業を目前に就職先も内定し、すべては順調のはずだった。息子のなにをわかっていたのか。煩悶する父に、フランスから届いたのは、たった三行のエアメール。すべては、そこからはじまった。フランス外人部隊-。自らの意思で兵士となった息子は、「小市民」と決めつけたつもりの父への思いを捨て切れなかった。父はそんな息子を、「刹那主義」者だと思いながら、ただ、無事だけを願った。父と子、それぞれの思いは、手紙に託され、つながれていった。