「えんたくん」は直径が1メートル程の丸いダンボールの板です。
人々が円座になって、ひざの上に「えんたくん」をのせると「場」と「対話」が劇的に変化します。さらに会議、教室、フェスなど人々が集う場所で手軽に使える「えんたくん」は「場」と「対話」を変えるだけでなく、ファシリテーションや課題解決、合意形成の方法も大きく変化させます。
輪になって座ると人々の間で序列のない対等な関係がつくりやすくなります。しかし会議室でも教室でも多くのテーブル、机は長方形で、中には固定されていることもあります。そんなときに簡単に円卓(ラウンドテーブル)をつくることのできる魔法のような道具「えんたくん」の使い方、活用方法をはじめて紹介します。
第1章では、輪になって座ることの意味と東京工業大学での初年次教育の試みを紹介します。
第2章では、「えんたくん」がいかにして誕生したか、そして大きく広がる過程とその意義をお伝えします。
第3章の「えんたくんミーティングを始めよう」では、ワールドカフェの手法をもとにした「えんたくんミーティング」の準備から進め方まで、イラストや注意するポイントを交えて解説しています。
第4章の「さまざまなえんたくんの活用法」では、フェス、教育現場、アートの世界、異文化交流、地域おこし、さらには被災地でのえんたくんの活用事例を、実践者から具体的に紹介します。
第5章では、共著者の川嶋直氏、中野民夫氏による「えんたくん」とそれがつくる場の意義、ファシリテーションのコツ、「えんたくん」が導く未来への期待をお伝えしています。
著者の川嶋直氏は、環境教育の現場からスタートして体験学習、企業研修、ESD、SDGsの分野で「KP法」(紙芝居プレゼンテーション法)や「えんたくんミーティング」など様々な手法を駆使して活躍してきたファシリテーションの達人です。
中野民夫氏は、参加型の場づくりであるファシリテーションの技法を日本にはじめて紹介したこの分野の第一人者。ワークショップ企画プロデューサーとして実践を積み重ねながら、近年は同志社大学、東京工業大学など教育の現場でも活躍しています。