思想家・吉本隆明は何を読み、どこに着眼し、どのように自らの思想を鍛えてきたのか-『古事記』歌謡、祝詞『六月晦大祓』『大殿祭』から、大江匡房『傀儡子記』、『おもろさうし』、藤原定家『毎月抄』、法然、親鸞、世阿弥、漱石・鴎外・柳田・折口、はては千石イエスや藤田まことのことば、天草方言まで。さまざまな分野にわたる古今の膨大なテクストから、注目すべきくだりを選び、簡潔に解説、そこからどのように考え、何を自分の思想の糧にしてきたのかを述べてゆく。生涯の思想の軌跡をアンソロジーに託して綴った本書はまた、吉本隆明に導かれて読む日本思想史のエッセンスでもある。