圧倒的な言語感覚この若い才能は、類いまれな想像力と、細部を見極める繊細な洞察力で、言葉の世界に新たな意識を刻みつづけるに違いない。東 直子(解説より)<自選短歌五首>夕暮れのゼブラゾーンをビートルズみたいに歩くたったひとりでハンカチを落としましたよああこれは僕が鬼だということですか自販機のひかりまみれのカゲロウが喉の渇きを癒せずにいる鮭の死を米で包んでまたさらに海苔で包んだあれが食べたいカードキー忘れて水を買いに出て僕は世界に閉じ込められる