翌朝、森は、何もなかったように、さらさらとした風が、木木を通りぬけて行きます。光の向こうから、ひらひらと、シジミチョウがやって来ました。シジミチョウは、森の中だけにすんでいて、杉に助けてもらったこともありました。シジミチョウは、ぐったりした二本の杉を見てびっくりしていいました。「いったい、どうしたの、杉さん。」「チョウさん、お願いだ。助けておくれ。」せの高い方の杉は、か細い声でいいました。いっぽう、せの低い方は、うらめしそうにいいました。この物語を縄文杉さんへ捧げます。