日本でも「郵政」の次には、「水道」の民営化が狙われている。世界では、一九九〇年代は「水道民営化」の一〇年であった。グローバル水道企業は、世界銀行などの国際金融機関に支援され、各国の政府や政治家と癒着し、巨大な利益をあげながら、世界の水道を手中に収めてきた。しかし、世界のほとんどの地域で、「水道民営化」は失敗した。その結果、水質悪化、料金高騰…、貧しい家庭が水道を利用できなくなったりしている。民営化反対運動は拡大し、かつての公営水道を改善した新たな公共水道が構築されてきている。本書は、市民・水道局員・研究者など水道に直接関わる現地の人々の手によって執筆された、世界17ヶ国の水道民営化の実態、新たな公共水道に向けた闘いをまとめたものである。