日本の風土・文化・生活から編み出されてきた〈やまと言葉〉は、歴史の試練を耐えぬき、日本人古来の知恵と心のあり方を現代に伝える宝庫。
聞き慣れた日本語も、その〈やまと言葉〉としての個々の源をたどれば、奥深く、時には意外な成り立ちが見えてくる──。 これらに共通するのは、「しなやかさ」「たおやかさ」と「調和」への理想であった。 ・「優」とは「すぐれていること」だが、後にとりわけ「やさしさ」を表すものになった。 ・「しあわせ」とは、複数のものごとを調和した状態に「仕合わせる」ことからきている。 ・「あきらめ」は本来「明らめ」であり、つまり世界と自己への理解と了解からくる「さとり」の境地を意味した。
自己・宗教・喪失と罪悪・仕事などとの関わり方と照らし合わせながら、〈やまと言葉〉に内包された、日本人が育んできたものの見方と心のあり方をたどる。