ことばについての理解を深めることは、さまざまな文化に触れ、生活や社会とかかわっていくために大変重要である。しかしそれだけに、すでにある程度の日本語を操る子どもたちに「なぜ国語を学ぶのか」を理解させることは難しい。国語科は、ことばを使いながらことばを学ぶ、もっていることばの力を発揮させながらことばの力を高めていく、特殊な教科ともいえる。
ことばとは人それぞれに固有のものであるのと同時に、社会に共通のものである。その子のことばの使い方や興味のありようなどを考え、さまざまに授業を工夫していくことが、国語科教師の面白みでもある。
本書では、基本的な学習計画を解説するとともに、「読むこと」「書くこと」「話すこと」といった多様なことばの側面、さらには伝統的言語文化やニューメディアなど新しいことばのありようについても触れ、ことばを使ったことばの学び方、ことばを通した社会とのかかわりについて考える。