内田洋一を乗せたヨットは、11カ月間の単独無寄港世界一周を終え、油壺に凱旋した。一人の無名の青年が、一躍現代の英雄になった。一方、内田の同級生で同じヨットマンの村上邦夫は、嫉妬と羨望に苛まれた。さらに恋人・亜矢子が内田と結婚。それから2カ月後、内田が殺された。時間と距離の鉄壁のアリバイをもつ容疑者に、十津川警部補が挑む、雄大な構想の長編。