現将軍・徳川綱吉の甥であり、甲府をおさめる藩主の徳川綱豊。のちの世では、綱吉のあとを継いで六代将軍・徳川家宣となり、義に厚く庶民思いの名君とうたわれた英傑である。その綱豊、そもそもは堅苦しい武家社会が嫌いで、将軍職なぞまっぴらごめん。不本意ながら世継ぎ争いに巻き込まれたものの、綱吉が将軍になってからは、謎の浪人・新見左近として、江戸を庶民の側から守ることを決意したのだ。そんな風変わりなお殿さまのもとには、なんの因果かさまざまな事件、厄介事が持ち込まれるのだが…。名将軍の若き日の活躍、ますます絶好調のシリーズ第七弾。書下ろし長編時代小説。