アンパンマンの父が贈るラストメッセージ
3・11の大津波に耐え、岩手県・陸前高田でたった一本だけ生き残った樹齢260年以上とされる「奇跡の一本松」に、92歳のやなせさんは「ヒョロ松」と名付け、自分自身を重ねています。
喪失と絶望の繰り返しだった92年の人生は、まさしくこの老木のように孤絶であったとやなせさんは振り返ります。
やなせさんが50年前に作詞し、その後大ヒットとなった『手のひらを太陽に』をはじめ、『それいけ!アンパンマン』、そして『陸前高田の松の木』と、やなせさんが一貫して歌に託してきたメッセージは、挫けずに生き抜くことの尊さにほかなりません。それは悲しみに暮れる弱者への、祈りにも似た魂の応援歌でもあります。
『アンパンマン』『やさしいライオン』……数々の名作を生み、大人も子どもも魅了してやまないやなせさんが、波乱万丈の人生から紡いだ生きるヒントをあますところなく伝えます。
【編集担当からのおすすめ情報】
92年にわたるやなせさんの人生は、喪失と孤独、失意と絶望の連続でした。
幼少期における親兄弟との死別、戦争、関東大震災、愛妻との出会いと永遠の別れ、闘病、事故……七転八倒し、何度も挫けそうになりながらも明日を信じ、困難に立ち向かっています。
「生き続けることはとてつもなく厳しいけれど、だからこそ生き続ける喜びがある。諦めさえしなければ、人生は必ずなんとかなる。何歳になっても人生は捨てたものではありません」(やなせさん)
生きることの意味を必死に探し求め、全力でぶつかってきたやなせさんの生きざまと老い方に、誰もが胸を打たれるにちがいありません。
心が折れそうなときはぜひ本書を開いてみてください。
92年の人生に裏打ちされたやなせさんの優しい言葉の数々が、きっと明日への扉を開いてくれるでしょう。