本誌は、日本の現代建築を主用途別に分類し、立地、規模、社会性、造形など、さまざまな面を考慮に入れてその代表作を選び、収録している。本書は、全国の新しい温泉保養施設を取り上げている。概ね宿泊施設を伴わない日帰り施設であるが、温泉の楽しみの原点でもある湯治の現代版ともいえる簡易な宿泊施設の付随したもの、温泉治療や健康診断施設を併設したものなど、また、温泉地の外湯(共同浴場)もいくつか収録している。いずれも、地域づくりの核としての役割を担った楽養湯空間である。バラエティに富んださまざまな工夫を読み取っていただきたい。