我々の周りにあり、また失われつつある日本的なもの。著者はそれを「日本流」と定義した。本書では万葉仮名、着物、庭園、絵画等を豊富な図版とともに紹介。それらのなかにスサビという方法論を見出し、泉鏡花、イサム・ノグチ、ワダエミなど、モノの真髄を掴み、革新的な仕事をした人々に着目。文化やその伝承が個々の才の集積であることを説く。また忘れかけた日本の滋味とも言える哀調を、野口雨情をはじめとする大正時代の童謡に探る。現代にも伏流としてある多様で一途な日本の姿が現れる一冊。日本文化について斬新な提言を続ける著者の歩みは、この書から始まった。