特集「誰のための公共性?」 公共性をめぐる議論は、1990年代後半から政治学、法学、社会学、経済学、歴史学などのさまざまな分野で盛んになってきた。しかし、公共性論の活況にもかかわらず、公共性をめぐる議論はかえって混乱の度を深めつつある。公共性という概念についてさえ共通の理解を欠いたまま、各自が独自の公共性論を立ち上げるため、その相互関係すら理解できずに狼狽えているのが現状ではないだろうか。そこで、一度公共性概念の理論的整理を行ったうえで、なぜ今、公共性を問うことが必要なのか、端的にそれは誰にとって重要なのか、公共性の理念に立ち返って検討する。