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  • 著者桂英史/著 奥村隆/著 伊藤守/著
  • 出版社公益財団法人たばこ総合研究センター
  • ISBN9784880653662
  • 発行2015年7月

談 no.103

これまでのメディア研究は大きく二つの流れがあったという。一つは19世紀に始まる報道を主たる対象とするジャーナリズム研究や文化研究などの社会学的な知見。もう一つは、20世紀以降のエレクトロニクスや情報通信技術などの制御や通信、あるいは情報を数学的に処理する情報学的知見である。両者に共通するのは、大量かつ即時的にメッセージを伝達することの利便性や効用を「期待(expectation)」することである(桂英史)。そして、ここで注目すべきは、伝える/伝えられるという行為や関係は「期待」があってこそ成り立つものだということだ。コミュニケーションとは、言うなればこの期待に賭ける行為そのものであり、期待があるからこそ、コミュニケーションはメディア的性格をもち、逆に言えば、メディアは限りなくコミュニケーションへとメタモルフォーゼする。

今、再びコミュニケーションに関心が集まっている。無縁社会とは、コミュニケーションが途絶えた社会であり、コミュ力のない人間は、社会と適応できない人間を指す。今や、コミュニケーションは、人間にとって人間存在そのものを規定するような重要なものになっている。人間にとってコミュニケーションとは何か。メディア環境が激変しつつある現代社会にあって、コミュニケーションは何を意味するのだろうか。人間・社会・メディアの関係から、コミュニケーションについて考察する。

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