家、宇宙、貝殻、ミニアチュール-人間をとりまくさまざまな空間は、どのような詩的イメージを喚起させるのか?物質的想像力の概念を導入して詩論の新しい地平を切りひらいてきたバシュラールは、この「科学的客観的態度」に疑義を呈するところから、本書を始める。人間の夢想を物質的相からとらえる態度は、「イメージの直接的な力に服従することを拒否することではないか」と。本書では、詩的イメージの根源の価値を明らかにするために、詩的イメージとイメージを創造する意識の行為を結合する、新たなる想像力の現象学を提唱する。バシュラール詩学の頂点をなす最晩年の書。