和歌山紀北に暮らす十二歳の少年、山下正二の家に、ある日、東京から十一歳の少女、橘にしきが疎開してくる。時は、半年後からいよいよ空襲の激化が始まる昭和十九年四月。正義感の強い無骨な田舎の少年と、都会から来た、誰をも魅了する美少女との戦中の淡い日常と、戦後の別れまで-。