近代日本の宿命、西欧との交わりのなかで、その思想・文化の単なる知的理解ではなく、自己の内面から西欧を血肉化し、それに対応した日本認識を自らの命題とし、日々の生活を通して西欧という現実に食い入りながら思想経験にまで高めた森有正。この前人未踏の、きびしく逞しい、豊かな展望を内に含んだ精神的営為の真髄を全5巻に集大成。第1巻は、著者がフランスに永住する決心をした後、はじめて世に出した、普遍的な価値に至ろうとつとめる魂の奇跡、『バビロンの流れのほとりにて』『流れのほとりにて』の2作品と、同時期の「日記」を収録。