新自由主義と自己責任論の残した無惨な破局のあとに、「相互扶助」は人間と社会の再生をかけたキーワードだ。
「クロポトキンは、ダーウィンの影響を受けた〈進化論〉者の一人であったが、その内容において、適者生存の原理、生物界の不断の闘争と生存競争の法則をつよく批判した。そして、これに対置して〈相互扶助〉の原理を〈進化〉の〈一要素〉とした。〈相互扶助〉の原理を受け入れ、引き継いだ〈種〉のみが自らを進歩させ、〈進化〉し、自らを維持することができたのであると。今から百年前の検証作業ではあるが、その展開は滔々と流れる大河の流れのごとく、読む者を飽きさせない」(「発刊にあたって」より)