急速な成長をとげ、全体の売上は65億ドル超、現在世界40ヶ国以上に1万1000を超える店舗を構えるなど、その独自の経営理念やブランド戦略、サービス哲学などは、世界中のビジネス社会で注目の的となっている。
「出店戦略が特徴的」「ブランドにこだわりを持っている」「人事や福利厚生がユニーク」といったことは世間的にも知られつつあるが、その背景にある社内カルチャーや意思決定のあり方、現場でのマネジメントなど、具体的なビジネスの全体像については、これまでほとんど社内でしか語られてこなかった。 そうした「スターバックスのビジネス」に焦点を当てて、同社の元マーケティング担当である著者が初めて書き下ろした書籍が、本書である。
本書は「マーケティング&ブランディング」「顧客サービス」「人材育成」という3つの切り口から、“内部の視点”で同社のビジネスを分析。経営陣の考え方から、さまざまなプロジェクトの成功/失敗事例、現場のすみずみに行き渡る独自の社内文化までを、44項目の「成功のノウハウ」として、具体的かつ平易な文章で明らかにしていく。
巻末には「スターバックス役員たちの本棚」を掲載。彼らが実際に読んでいるビジネス書の中でも、とくにスターバックスのビジネスを形づくるのに重要な影響を与えた本を紹介している。これらを読むだけでも、スターバックス独特のビジネスを理解する大きな助けとなるにちがいない。
具体的なプロジェクトの事例や経営陣の言葉など、興味深く、そして誰でもすぐに役立つノウハウも多く書かれており、経営者や起業家だけでなく、一般のビジネスパーソンにもぜひ読んでいただきたい一冊といえる。