印象派、前衛、キュビスム、シュルレアリスム、抽象主義、表現主義、ポップ・アート…。十九世紀以来、絶えず「否定」と「変化」を繰り返してきた芸術を、「進歩」という概念で物語ることは可能なのだろうか?一過的なもののなかに永遠の要素を含み、またそれゆえに新と旧との果てしない交代のサイクルから逃れえない「現代性」…ボードレールが憂愁とともに予感したその概念の二面性を、近代芸術は克服できたのだろうか?学者的博識と緻密さに、鋭利な批評家的資質を併せ持つフランスの気鋭が、「作品の自律化/純化」という近代芸術の歴史観に抗し、そこに潜む五つの背理を緻密に分析しつつ、ポストモダン芸術の可能性を模索する。