思想の継承はどのようにして可能なのか?-クサすための批評や教祖のご託宣を拝聴する類いの態度からは決して生まれない。新しい事実がつぎつぎに発見されていく時代のなかで、古くならない「思想」などあり得ないが、吉本隆明が不死鳥のように読まれていくのは、「見るものの位置」によって「対象」がまったく違って見えるからだ。「座標」と「地図」というキーワードで読み解き、思想がもつ党派性や権力性を排し、多面体としての吉本隆明の核に迫る。