人工臓器(じんこうぞうき)ということばは、日頃わたしたちがあまり耳にする言葉ではないかもしれません。でも、人工透析やペースメーカー、あるいは白内障のレンズ、歯の治療で使われているインプラントと言い換えたなら、どうでしょうか。これらはすべて人工臓器の仲間なのです。人工臓器には人工心臓や人工腎臓など、いのちに関わるものから、眼内レンズや人工歯根、人工関節のように生活を手助けするもの、さらには人工視覚や人工神経のように最近とくに研究が進みつつあるものまであります。この本を読みすすむうちに、こんなものまで「人工臓器なの?」ときっと驚くにちがいありません。と同時に、人のために尽くすその姿に親しみや感動を覚えるのではないでしょうか。