文献学の専門家である山口謠司さん初めての詩集。 古典から近・現代までの文献をつぶさに見てきた著者だからこその言葉の味わいが、独特なリズムとともに紙の上を跳ねまわります。生きている私たちは毎日、「未実施」のままになっているあれこれを置き去りにし、時に鈍い痛みとともにその「未実施」を飲み込んでゆく。 記憶の押入れの片隅に押し込めていた何ものかを揺り動かすような言葉の断片たちが、読む人をしばしの心の旅へと連れ出してくれるのです。