"あのひとは人殺し"そんな"うわさ"が立ったから、私はヘルパーを辞めざるをえなかった。あのとき駒井さんのおばあちゃんは、もう死んでいたのよ。近くに買い物に行ったわずかな時間に。仕方ないから、いまは静かにしてスーパーでパートをやってる。四十九歳だけど、からだには自信があるし…。ほら、いまも向かいのマンションから、若い男が私の着替えを覗き見してるわ。構やしない。私の楽しみはただひとつ。勝手知った元の雇い主の家に忍び込んで…。女のこわさ、やさしさに迫る、新直木賞作家のホラーミステリー。