大工の林吉が煮売り酒屋で、左頬に大きな傷があり、右の眉が半分しかない男ともめた挙げ句に刺し殺された。すでに人相書が自身番に配られたが、今のところ、それらしい男は浮かんでいない-。ある夜、探索を終えた帰途に不意打ちを喰らい、あやうく危地を脱した新兵衛は、以来しばしば襲われるはめに。ただの怨恨か、殺しに絡んだ奸計か?想いを寄せる智穂の身にも、よからぬ気配が。