全488ページ。掲載写真453点。撮影人数のべ1200人。2011~2013年春、変化を続ける被災地、東北へ。〝よそ者〟33歳、新人写真家が迷い、考え、挑んだ、無謀かつ偉大な一期一会の記録。真っ向勝負の肖像写真453点と覚書き。
【本書寄稿より】
「いまだ、あまりに記憶は生々しい。<そのとき>を振りかえる余裕など、きっとない。もしかすると、この写真集は<そのとき>からの時間を抱いて、思いがけぬ変容を遂げてゆくのかもしれない。だから、これは未来を抱いた写真集である、と呟いてみる。」(赤坂憲雄)
「写真家は人間と対峙するというより、静粛に寄り添い、両者の誠実で透明な反応がそこに現れ出ている。」(伊藤俊治)
「田代の写真は、「思い」を呼び寄せる。私たちは、そこに映し出された被災者の「表情」や「たたずまい」から、想像を喚起させられる。」(中島岳志)
「田代は、自分が写すポートレートの像主との間合いをつねに測っている。慎重だが臆病ではない距離の計測だ。ただひとつ「余所者」であることの位置だけが、忘れてはならない己の皮膚への文身のように、銘記されるかのようだ。」(倉石信乃)
「震災発生から逸早く被災現場に入ってカメラを向け、自らの正義と義務とを疑うことなくすぐさまメディアに載せて、写真に関わる者の社会的責任と職業を全うしたと考えることとの対極にある。田代一倫がこれから後、葛藤や戸惑いを失わないこともまた写真を撮り続けたことと重なり合って継続されていくことになる。」(大島 洋)