• 著者辻内智貴
  • 出版社小学館
  • ISBN9784094081930
  • 発行2007年8月

信さん

その男、信さんは、小学生時代、2年先輩で、町で知らないものがいない悪餓鬼だった。当時、父を亡くし内向的で漫画を読むことが唯一といっていい楽しみだった「私」は、ある日、いじめられている現場で信さんに助けてもらう。その直後その場を偶然通りかかった「私」の母は、誰もが恐れる信さんに丁寧に御礼を言った。その日から、信さんは、「私」といつも一緒にいるようになった――。昭和30年代、青空がまだ確かにそこにあった時代の伸びやかかつ、美しい魂を封じ込めた秀作。

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