身をきられるように寒く、暗い、雪のふりしきる街を、ひとりの小さな女の子が歩いていました。足ははだしで、すりきれたエプロンには、マッチのたばをかかえながら。その日、一日じゅう、だれもマッチを買ってくれませんでしたので、家へ帰るわけにもいきません。女の子は、おなかをすかせ、こごえそうになりながら、とうとう、通りの家の壁のくぼみに、すわりこんでしまいました。そして、寒さに耐えかねてすった炎の中に、女の子が見たものは…。名高く、哀切にみちたアンデルセンの『マッチうりの女の子』を、アンデルセンと同じ国の画家スベン・オットーが、冬のデンマークの街の情感を背景に、格調高く描きます。