中世騎士道の時代、シャルルマーニュ麾下のフランス軍勇将のなかに、かなり風変わりな騎士がいた。その真っ白い甲冑のなかは、空洞、誰も入っていない空っぽ…。『まっぷたつの子爵』『木のぼり男爵』とともに、空想的な"歴史"三部作の一作品である奇想天外な小説。現代への寓意的な批判を込めながら、破天荒な想像力と冒険的な筋立てが愉しい傑作。