「さらば、民主国家日本よ、だな」日下良治は自嘲気味に呟いた。政府の"教育改革審議会"が、徴兵制に道を拓く答申を出したのだ。翌朝、モンペ姿の妻に揺り起こされた日下は、息子の達郎に"赤紙"が来たことを告げられる。そこは昭和二十年、太平洋戦争下の東京だった。(表題作)羅針盤を失った現代の日本に、著者が警鐘を打ち鳴らす!「危機意識」を呼び覚ます四編。