微梦(うすぐら)い廊下に。漆黒の影法師が現れた。「君は――」誰だ。「世界を騙る者です」影法師はそう、響き渡るような声で云った。京極夏彦分冊文庫シリーズ「私の世界は、小さなひと雫の漆黒に凝縮されてしまった」。終わることのない殺人の連鎖。蜃気楼のように浮かびあがっては消える犯人像、そして榎木津と事件の繋がりも見えずにいた。そんな状況下、京極堂は、自らの世界の終焉を悟った男と対峙する。滅びゆく世界を遺すために――。圧巻のクライマックス。