本書は大学学部レベルにおけるフィルタの教科書として執筆したものであるが、電子、通信分野の技術者のためにも易しい参考書として役立つように、解析および設計のための式、表、設計の具体例などを比較的豊富に示している。本書のおもな内容は、伝送回路としての共通的・基礎的事項および、集中定数フィルタ、能動フィルタ、ディジタルフィルタである。本書の内容は、それらの周波数帯におけるフィルタ、合分波器などの解析、設計のための基礎となっている。ディジタルフィルタの設計法には、アナログフィルタから変換する方法と直接設計法とがある。本書では6章において前者を取り扱う。まず、基本的な伝達関数とそれを実現する回路を示す。つぎにインパルス不変変換法の基本原理と極のマッピング、設計例、適用条件などについて説明する。最後に双1次変換法について、基本原理、予補償、極のマッピング、設計例、適用条件などを示す。