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  • 著者アンリ・イレネ・マルー 岩村清太
  • 出版社知泉書館
  • ISBN9784862850331
  • 発行2008年6月

アウグスティヌスと古代教養の終焉

ギリシアの教養パイデイアが、ローマ世界に普及しラテン化するとともに、異教と神話に起源をもつ自由学芸が、キリスト教と融合していかに西欧中世へと移植可能になったか?この問いに対しギリシア・ローマの教養を身につけそのキリスト教化を図った代表的人物アウグスティヌスの業績の具体的な分析を通して解明する。彼の生涯はそれ自体が古代自由学芸の実態とその変容を体現していた。アウグスティヌスはアフリカで苦学して自由学芸を修め、文法教師、修辞学教師として活躍、自由学芸の教科書の執筆も手掛けた。彼は新プラトン主義に導かれキリスト教に入信、司教、博士としてキリスト教徒の知的霊的指導に尽くしつつ、古代の自由学芸を聖書注解、神学、説教といったキリスト教的知的活動に積極的に応用した。キリスト教と自由学芸双方を神の知恵にいたる同一の知的体系の中に位置づけ、キリスト教的知的社会における自由学芸に市民権を与えたが、同時にキリスト教もその摂取をとおしてラテン化された。古代教養人の知的活動を支えた自由学芸の内容と変容を解明した名著を達意の訳文で実現した待望の書。

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