みなさんは、外郎売(ういろううり)をご存じですか。
外郎売とは、享保三年(一七一八年)正月、江戸森田座の『若緑勢曾我』で二代目市川團十郎によって初演された、「歌舞伎十八番」の一つです。
現在は、十二代目市川團十郎が復活させたもの(野口達二脚本)が上演されています。
今日では「外郎売」といえば、その劇中に出てくる外郎売の長科白を指すことが多く、
日本では俳優や声優などの養成所、アナウンサーの研修等で暗唱、発声練習や滑舌の練習によく使われています。
外郎売は、「ういろう」という薬を街頭で売り込むための口上、セールストークです。
そのため早口言葉や言葉遊びなどで、通行人の気を惹き、楽しませながら「ういろう」がいかに素晴らしい薬であるかをアピールします。
リズミカルでユーモラスな文章であると同時に、商売の目的もしっかりと入っている、生き生きとした奥行の深い日本語の世界です。
この「外郎売」を読み、聞き、自分でも口にしてみることで、豊かな日本語を楽しみながら、心も元気で前向きになれるのではないか、との思いから、この本は生まれました。
お楽しみいただければ幸いです。