本書は、心的なものを何らかの意味で物的なものとして理解しようとする物的一元論の可能性を探りたいと思う。心的なものを物的なものとして理解するということは、心的なものを何らかの仕方で物的世界に定位するということ、物的世界のうちに心的なものの適当な居場所を見い出してやることである。つまり、心的なものを超自然的なものとしてではなく、物的世界に生起する自然現象として理解するということである。物的一元論はこのような心の自然化を目指す。