現代の「熊野詣」-ニュー・ドキュメントの秀作。著者自身の故郷であり、その数々の傑作の舞台となった紀州-そこはまた、太古よりの神話・伝説の宝庫であり、神武東征以来の敗れた者らの棲む国でもある。生と死、聖と賎がせめぎ合うこの隠国の地霊と交感しつつ、そこに積まれた幾重もの魂の層を掘り起こし、美とエロスの源流を探る豊饒な旅の記録。