およそ咀嚼できるものならば何でも食ってしまうというのが人類の大きな特質であるが、わけても著者はその最たるもの。先入観も偏見も持たず、国内国外を問わず、著者は美味を求めて放浪し、その土地土地に根付く人々の知恵と努力を食べる。現代に生きる私たちの食生活がいかにひ弱でマンネリ化しているかを痛感させずにはおかぬ、豪毅なエッセイ集。