本書は、音楽コミュニケーションが近代的な様相を呈するまでの過程を、現象学的・歴史社会学的に論じている。議論を展開するにあたり、アルフレッド・シュッツの現象学的社会学、エトムント・フッサールの現象学、マックス・ウェーバーの音楽合理化論の視点に依拠し、モーリス・アルヴァックスの集合的記憶論、真木悠介やアンソニー・ギデンズの時間意識の変容に関する思考も、議論の支柱のひとつとした。数々の楽曲によって議論を具体的なものとしている。