「蝦夷とはなにか」という問題を含めて、古代東北史の戦後40年間の研究は、質量ともに厖大なものがある。その中で多くの通説や定説が生れたものの、それらは必ずしも厳しい史実検証が行われたものとはいえない。本書は、最近の目覚しい考古学の成果を取り込み、数少ない史料を丹念に検討しなおして、古代史の中でも、最も深い闇の奥底に閉ざされてしまった"まつろわぬ民"蝦夷=古代東北人の実像と、その軌跡の解明を試みる。