小さな借宅に住み、ホームレスにも似たボランティア僧として生きながら、良寛は、なぜ後世に名を残すほどの人望があったのか。あの封建制の不自由な時代に「自由な生きかた」を死ぬまで押し通し、どの組織にも所属せず、地位や名誉や金品を貪り求めることなく悠々と、そして人に愛されて生きた良寛のことばに、私たちはいまこそ耳をすませてみたい。