原作の持つ素晴らしさはそのままに、より深い感動へと導く戸田幸四郎の名作絵本シリーズ。 太宰治の名作の世界が、見事に描かれています。
有名な物語の出だしの一文「メロスは激怒した」から始まります。 太宰の切れ味鋭い文体、余分なものを極限まで削ぎ落とした文体は、戸田幸四郎のシンプルで力強い絵との相性は抜群です。
友のために命を懸けて走り続けるメロス。 「走れ!走れ!速く!」沈む夕日に向かって走る場面で、文も絵も最高潮に達します。 力強い油絵と手に汗にぎる展開は、読む者をぐいぐいと引き込んでいきます。
友情の美しさ、信頼の尊さが爽やかに伝わります。大人になっても読み返したい名作です。