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  • Author正村俊之
  • Publisher講談社
  • ISBN9784065118450
  • Publish Date2018年6月

主権の二千年史

なぜ民主主義は危機に陥ったのか? 「貨幣」と「権力」を軸にしたメカニズムを駆動する「主権」とは、いったい何なのか? 経済学とも政治学とも異なる視点で古代ギリシア以来の壮大な歴史をたどらなければ、もともと民主主義に刻み込まれていた問題を理解することも、真に有効な打開策を探ることも決してできない。第一級の社会学者だからこそなしえた大胆な試みと重要な提言。未来を切り拓くための必読の書がここに完成!
今日、民主主義の危機が叫ばれることが多い。日本でも投票率は1980年代をピークに下降の一途をたどり、民主的な選挙で選ばれたはずの政治家に反対するデモが行われることもめずらしくなくなった。
振り返れば、民主主義が正当な統治形態とみなされるようになったのは20世紀に入ってからのことにすぎない。そして、早くも20世紀後半には民主主義の限界や欠陥が指摘されるようになった。本書は、今や危機に瀕している近代的な民主主義が成立する過程を、古代ギリシア以来の二千年以上に及ぶ歴史の中で描き出す壮大な試みである。
だが、本書の目的は単に歴史学的なものではない。歴史的な経緯を追うことによってのみ判明する民主主義の根本的な問題を剔出することが主眼である。危機をもたらした問題を明確に認識しないかぎり、その解決策を導き出すことは決してできないだろう。
この試みの導きの糸となる概念が、本書のタイトルにある「主権」にほかならない。民主主義をもたらしたメカニズムは「貨幣」と「権力」を軸にしている。だが、この両者は決して別々のものではなく、複合的に働いている。その働きを可能にしたのが「主権」という概念である。だからこそ、経済(学)と政治(学)を区別し、貨幣と権力をそれぞれ独立した媒体と考える従来の理解では、民主主義の危機を真に理解することはできない。
本書は、経済学者にも政治学者にもなしえなかった比類なき達成であり、第一級の社会学者として知られる著者による提言の書である。

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