傑作中篇「幽霊」シリーズ第3弾の新装版。
永井夕子は高校時代の親友・片倉敦子の邸宅を、宇野とともに訪れる。敦子は57歳の会社社長・泰長の後妻となり、自分より年上の義理の息子・靖夫と、自分より一つ年下の娘・不眠症の亜里沙と暮らしていた。
誰もがうらやむ豪邸に暮しているとはいえ、気苦労が多いんじゃない、と心配する夕子に、敦子は
「なにも問題はないわ。あるといえば主人が月に一度、先妻に会いにいくことぐらいかしら」と答える。
泰長は死んだ人の霊を呼び出す降霊術の集いに出かけ、「幽霊」となった先妻と話をしてくるのだ、という…。
そんな話をしているところへ、亜里沙の部屋が何者かに荒らされていることが発覚。そしてベッドの上には、冷たくなった亜里沙の身体が横たわっていた――。
表題作ほか、「名探偵の子守唄」「青ひげよ、我に帰れ」「赤い靴はいてた女の子」「コウノトリは本日休業」「殺された死体」の計6篇を収録。