• Authorこまつあやこ
  • Publisher講談社
  • ISBN9784062210805
  • Publish Date2018年6月

リマ・トゥジュ・リマ・トゥジュ・トゥジュ

2019年度中学入試最多出題作!栄光学園、海城、鎌倉女学院、成城、淑徳与野、桐朋、白陵、緑が丘女子、山脇学園、早稲田実業・・・・・・。中二の九月に、マレーシアからの帰国子女になった沙弥は、日本の中学に順応しようと四苦八苦。ある日、沙弥は延滞本の督促をしてまわる三年の「督促女王」に呼び出されて「今からギンコウついてきて」と言われ、まさか銀行強盗?と沙弥は驚くがそれは短歌の吟行のことだった。短歌など詠んだことのない沙弥は戸惑う。しかし、でたらめにマレーシア語を織り交ぜた短歌を詠んでみると……。2017年講談社児童文学新人賞受賞作!
ごはんからココナッツのにおいがしない。
「さーや、何やってるの」
 わたしが給食のクリーム色の器に鼻を近づけてひくつかせていると、朋香ちゃんは新種の生きものを見つけたみたいに、好奇心と不安の混ざった声できいてきた。
「え、何でもないよ! コシヒカリかなーとか思って」
 新種の生きものなんかになりたくないわたしは、あわてて器から顔を離した。
 やばいやばい。
 わたしは周りの給食班をキョロキョロと見まわした。
「マレーシアではココナッツミルクで炊いたごはんがあってね」なんて話し始めたら……。
 きっと「帰国子女ぶってる」とか、周りにコソコソ言われちゃうんだろうから。
 帰国子女として転入してきて二週間。まだまだ気が抜けない。
──本文より
目次
1(サトゥ)  督促女王 
2(ドゥア)  初めての歌
3(ティガ)  わたしは変わってしまったの?
4(ンパッ)  赤い下着
5(リマ)    タンカードNo.1
6(ンナム)  トナカイからのプレゼント
7(トゥジュ)  時計と寿司は回り続ける

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