1977年の開館以来、パリのジョルジュ・ポンピドゥー・センターは、多領域にわたる斬新な展示、市民向けのプログラムなど、革新的な活動を展開してきた。コンセプトは、「開かれた美術館」。ラディカルな展示を成功させたのは、芸術と社会をむすぶユートピアの夢に燃えた学芸員(キュレーター)たちだった。著者は、パリで専門教育を受け、日本人としてはただ一人、開館直後からポンピドゥー・センターの一員となり、さまざまな展覧会に関わった。本書は、著者自身が現場にあって経験した、ポンピドゥー・センターの活動の軌跡とその舞台裏をいきいきと紹介する、初めての内部からの報告である。