本書「はじめに」から
超少子高齢化の進展で地方自治体の先行きは厳しい。とりわけ深刻なのは、少子化による人口減の影響だ。地方都市を中心に経済活動、地域コミュニティの崩壊が現実のものとなりつつある。日本創成会議は、こう警告している。
「このまま推移すれば、2040年には、全国の自治体の約半数にあたる896自治体が消滅する可能性がある」
地方都市は、生き残り、勝ち残りをかけての戦いに突入している。(中略)
人口5万人に満たないある地方都市が注目を浴びている。兵庫県小野市。東播磨地方の中心に位置しする。(中略)
注目されているのは、同市が1999(平成11)年以来、20年近くにわたって民間の経営手法を大胆に取り入れて徹底した行財政改革を行ったからである。きっかけは、現在5期目の蓬莱務が市長に就任したことだった。
(中略)
第2部では、小野市と同じ兵庫県の県庁所在地である神戸市長、久元喜造氏と蓬莱市長との対談を収録した。久元市長は総務省(旧自治省)のキャリアとして自治行政局長、神戸市副市長などを経て、2013年神戸市長に就任した地方行政のエキスパート。民間企業でリストラに手腕を発揮した蓬莱市長との対談は、市の規模の違いを超えて、丁々発止の展開となった。