「もの」の「はずみ」とは、世界をひろげていくための大切な力でもあるのです-。パリの裏路地の古道具屋で出会った、作り手の顔が透けて見えるような実直な製品や、元の持ち主の生活の匂いまで感じ取れる、使いこまれたがらくたたち。パタパタ時計、木製トランク、鉛の玩具などなど。国境も時間も超えて愛されたものだけが持つ、秘めやかな物語にそっと耳を傾けた名エッセイ。