町内の呑ン兵衛たちがいつも通り呑み会を始めると、小さな黒猫が現れた。猫見酒としゃれこみ、徳利を手に黒猫の後をつけていくと、やがて猫の集まりに出会う。すると黒猫は呑ン兵衛のひとり、馬次に向かって手招きをするではないか。集まりに参加した馬次だが、いつしか黒猫とふたりきりで寄り添い……(表題作)。人気時代小説家が軽妙洒脱な筆さばきで描く「読む落語」全十席。